【水原一平どうなる?】アメリカ連邦刑事裁判の今後の流れ

捜査は日本の警察の捜査と内容は変わりません。事件を捜査し、起訴に足りうる証拠を収集します。

アメリカ合衆国連邦政府には以下の犯罪捜査機関が存在します。

これらの捜査機関が捜査し集めた証拠から事件を起訴するかどうかを検討するのが連邦検察です。水原一平氏の事件では連邦捜査局(FBI) や国土安全保障局捜査局(DHS/HSI) の捜査で集まった数々の証拠から、この連邦検察が銀行詐欺罪で水原一平氏を起訴する意向であると4月12日に記者会見しました。

下記の記者会見でも分かるように、連邦捜査局(FBI) や国土安全保障局捜査局(DHS/HSI) の捜査は3週間という短い期間に非常に緻密な捜査を展開していた事がよくわかります。

連邦検察の記者会見

連邦検察官は捜査の過程で収集した証拠を基に事件を起訴するかどうか判断します。重大事件とされる場合は、連邦検察のさらに上部に位置する大陪審が起訴するかどうかを判断します。

大陪審とは

• 被告人を知らない中立な一般市民、16～23人で構成されます。
• 秘密投票により、起訴の是非を決定。起訴には12人以上の賛同が必要。
• 大陪審の審理内容は非公開。

日本の場合は、検察が事件を裁判にかけるかどうか(起訴するかどうか)を判断しますが、アメリカの場合、この手続きを経ることで、検察のみならず市民の側からも重大事件の起訴の適否が吟味されることになり、偏りのない公正な手続きが確保される仕組みになっているんですよ。

4月11日に水原一平氏は起訴されました。

被告人が起訴されると弁護士(弁護人)を雇います。経済的に余裕がない場合は国選弁護人を雇います。弁護人は、被告人に法律と事件の事実関係を理解させ、検察側が政府を代表するのと同様に、被告人を代理して事件に当たります。

水原一平氏が雇った弁護士はMichael G. Freedman(マイケル・G・フリードマン) という弁護士です。

マイケル・G・フリードマン弁護士

マイケル・G・フリードマン弁護士は、アメリカの経済メディア「Forbes」の「2024 年カリフォルニア州ロサンゼルスのベスト刑事弁護弁護士10人」の特集において、名前を連ねている弁護士です。

マイケル・G・フリードマン弁護士は、2021年に自らが代表となる弁護士事務所「THE FREEDMAN FIRM」を設立して以来、数十人の顧客の連邦告訴を回避し、多数の刑事告訴を却下、南部地区で無罪判決を勝ち取るなど、裁判中および裁判後の申し立てを通じて刑事告訴を破ってきた実績の持ち主です。かなり優秀な弁護士のようです。

弁護士料高そう!!
なんでお金持ってるの?!
水原一平氏、
実はギャンブルで勝ったお金を
貯め込んでるのか?!

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水原一平氏は4月12日午前中に
連邦捜査当局に自首。
午後にロサンゼルスのダウンタウンにある
連邦地方裁判所に出廷。

被告人が逮捕され起訴された当日か翌日のいずれかに、裁判官の前に出廷します。以下の手続きが行われます。

※保釈金は即時支払いは免除。保釈条件違反が発覚した場合は2万5000ドルの保釈金の支払いが強制されます。

追記 2024年5月15日(日本時間)、水原一平被告が2度目の裁判所出廷。

水原一平氏、今ココ!! (日本時間5月15日現在)

5月15日の出廷での罪状認否では「無罪」を主張。

あれ、司法取引は?

そうなんです。ちょっとややこしいです。5月15日の罪状認否をした裁判官には有罪答弁を受理する権限がない裁判官だったため、一旦は「無罪」を主張し、次回6月14日の出廷で改めて行われる罪状認否で「有罪答弁」に切り替えるとの事。これはアメリカの裁判では形式的な流れだそうです。

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裁判を前に、検察側、被告側がそれぞれ以下の裁判の準備を行います。

日本人の考える「司法取引」とアメリカの連邦裁判の「司法取引」は認識がだいぶ異なります。日本の司法取引は、検察や警察が欲する別事件の有力情報を提供することで、自分の罪を軽くしてもらう、というものです。検察側、被告側、双方にメリットがあるため取引が成立するわけです。

アメリカの連邦裁判の「司法取引」とは、検察側が圧倒的に有利の場合に検察側が持ち出す取引になります。検察側の捜査がほぼ完ぺきで被告人はほぼ間違いなく有罪に持ち込めるという争いの場合、被告人の刑罰を軽くすることを条件に被告人に有罪答弁、罪を認める供述をさせる、これがアメリカの連邦裁判の「司法取引」です。

これ、検察側に
メリット無いやん?!

日本人の感覚だと、そう思いますよね。でもこれ、検察側のメリット大ありなんですよ。

被告人が司法取引して、
有罪答弁をして罪を認めると、
裁判は行われず、直ぐに量刑審理に移行
します。

要するに時間のかかる
裁判の面倒なやり取りの全てをスキップして
即、判決に移れるという事なんですよ。

この表で言いますとこの地点から「STEP6」予備審理～「STEP9」公判後申立てを省略して一気に「STEP10」判決に移れることになります。

水原一平氏はこの司法取引を利用して最大限の減刑を得るために、優秀なマイケル・G・フリードマン弁護士を雇ったものと思われます。水原一平氏が裁かれるのは銀行詐欺罪で最長30年の懲役、もしくは100万ドル(日本1億5000万円にして約円) の罰金刑、もしくはその両方が科せられるなります。どの位減刑されるのか注目されます。

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予備審理とは、公判を行うかどうかの判断材料、証人や証拠などを検察側が提出して、裁判官が裁判する相当の理由があるかどうかを審査する手続きです。

被告人が勾留中の場合は冒頭の「初期聴取」の日から14日以内、保釈中の場合は21日以内に行われます。

また、被告人は予備審理を放棄する権利を持っています。

公判前申立ては、公判が始まる前に特定の問題について裁判所に判断を求める申請のことです。

公判前申立ては、公判前に裁判所の判断を仰ぐ重要な手続です。公判の円滑な進行や被告人の権利保護に大きな影響を与えます。双方の主張を踏まえ、裁判官がそれぞれの申立ての可否を判断します。

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公判は事件の事実関係が陪審員団に提示され、陪審員が被告人の有罪・無罪を判断するという構造化された手続きです。

検察側は、証拠と証人を使って被告人の犯罪事実を立証することに努めます。一方で被告人側は、弁護人のリードの下、自身に有利な証拠と証人をもって主張を展開します。

それを中立的な立場で進行し、公判全体が公正であるように努めるのが裁判官です。

公判は検察側と被告人側の攻防、やり取りを陪審員が見守り、最終的に有罪・無罪を評決するものです。中立の裁判官が公判全体を監督する役目を担っています。

陪審員の選任
公判が始まるとまず行われるのが陪審員12人の選任です。陪審員は事件の事実を聞き、被告人の有罪・無罪を判断する役割を担います。

アメリカの法廷ドラマ「BULL」では裁判に勝利するためにはこの陪審員の選任が最も重要だとうたっています。このドラマは法廷に科学を取り入れた超面白いドラマです。このドラマを見るとアメリカの裁判の様子がよくわかります。

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法廷を操る男「BULL」

冒頭陳述
公判が始まり陪審員12人の選任が終わると、次は冒頭陳述が行われます。審理に先立ち双方がそれぞれの立場や主張の骨子を陪審員に対して簡潔に示す、公判の導入部分に位置付けられる重要な手続きです。

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証人尋問

まず検察側が証人に対して尋問します。
証拠を提示して事件の立証を試みます。

被告人側り弁護士が同じ証人に対して反対尋問します。
証人の信用性を問う質問などをします。

検察側が再び同じ証人に尋問します。
証言の補足や矛盾点の説明を求めます。

上記のサイクルですべての証人に対して尋問し、検察側の立証が終了します。

その後、被告人側の弁護人が立証の機会を与えられます。被告人側には無実の立証責任はないので、何もしないという事もありますが、多くの場合、被告人側も証拠を提出したり証人を呼んで尋問したりします。

その後は、弁護側による立証の機会があります。弁護側は証人呼びや証拠提出のほか、被告人に証言させないという選択肢もあります。ありません。

検察側、被告人側が立証を尽くす形で公平に審理が進められます。

異議申し立て
証人尋問の際、被告人側の弁護人は質問や提出された証拠に対して、判事に異議を申し立てることができます。異議の理由としては、二次情報に基づく証言の「伝聞証拠」である場合や、事件との「関連性の欠如」などが上げられます。

裁判官は申し立てられた異議に対して「容認」、または「却下」して審理を進めます。

最終弁論
被告人側の証人尋問と検察側の反対尋問がすべて終わると被告人側弁護人は論告休止を宣言して、最終弁論陳述の準備をします。

12人の陪審員に対する最後のプレゼンテーションとなります。検察側、被告人側それぞれが証言内容と証拠をまとめて説明し、陪審員に対して「有罪」か「無罪」の評決を下すよう求めます。

陪審員への指示
検察側と被告人側の最終弁論が終わると、裁判官は陪審員に対して中立な立場で、裁判に適用される法律と、評決に至るために必要な手順、評決のポイントについて説明します。

陪審員の審議と評決の発表
裁判官から指示を受けた陪審員12人は被告人が有罪か無罪かを決定する審議に入ります。

被告人が無罪の場合は、即帰宅することが出来ます。
有罪の場合でも、量刑は即日決まりません。
数カ月後に再び裁判所に出廷し、量刑込みの判決を言い渡されます。

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被告人が有罪になった場合、公判後に以下の申し立てが出来ます。

日本の裁判の判決は、有罪・無罪の判決と量刑が同時に言い渡されますが、アメリカ連邦刑事裁判では、まず有罪無罪が確定し、その数カ月後に量刑が決定します。

有罪が確定した被告人は判決を受けるために数カ月後に再び裁判所に出廷します。連邦議会は、多くの犯罪について最低刑と最高刑を定めており、裁判官はこれに基づいて判決、量刑を下します。

連邦政府は死刑を廃止していません。死刑を科すかどうかは他の刑罰とは異なり、陪審員が決めなければなりません。

被告人が有罪判決に不服の場合は巡回裁判所に控訴できます。控訴審が巡回裁判所の判事によって決定された後でも、被告人はその決定を不服としてワシントンD.C.の連邦最高裁判所に上告することができます。