TBSドラマ日曜劇場「ブラックペアン2」、9月8日放送の第9話では、手術中に患者が亡くなるという事態を天城雪彦(演 二宮和也) が唯一経験したのは、天城が義母を手術した時だったことが判明。手術は成功したものの、患者の体温が急上昇する「悪性高熱」を発症、悪性高熱に効く薬「ダントロレン」が準備されておらず、天城の義母は亡くなりました。そして、公開手術となった患者・徳永栄一(演 井上肇) の手術の際も同様に「悪性高熱」が発症、この手術でも「ダントロレン」が準備されていませんでした。「え? なんで大病院の手術で必要な薬の準備が出来てないの?」と違和感を感じた視聴者も多いはず。なぜ、悪性高熱に効く薬「ダントロレン」が準備されていなかったのか? について解説します。
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なぜ悪性高熱に効く薬(ダントロレン)が大病院にないのか?【ブラックペアン2】
ドラマ「ブラックペアン2」第9話で描かれたあり得ないシーンが以下になります。
天城が義母の手術を行った時
画像出典：TBSドラマ日曜劇場「ブラックペアン2」第9話より
ダントロレンがありません!
天城が徳永栄一を手術した時
画像出典：TBSドラマ日曜劇場「ブラックペアン2」第9話より
すいません、ダントロレンはありません!
もう、なんで、
ダントロレン
ないのよ?!
手術している場所が、Dr.こと―診療所みたいな沖縄の離島の小さな病院でなら、あれがない、これがないって言うのも理解できますが、上記のフランスの病院も日本の病院もちゃんとした大病院のはず。。。
なぜダントロレンがない事が
立て続けに起こるのか?
それは、ダントロレンが
非常に高価な薬品だからです。
高過ぎて常備していない病院が
多くあると言います。
「オーファンパシフィッ」のサイトによると
20ミリグラム入りの静脈注射用の小瓶が
1本9039円です。
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ダントロレンは、全身麻酔をかけた際にごくまれに起こる悪性高熱を抑えるのに有効な薬で日本ではオーファンパシフィック社が製造販売している薬品です。(※商品名は「ダントリウム」)
ダントロレン(商品名は「ダントリウム」)
20ミリグラムで1本約9000円、確かに高価ですが、大病院が負担できないほど高価とも思えません。
しかし、この薬、
一人の患者さんに使う量が
20ミリグラム1本では収まらないんですよ。
例えば今回の第9話に登場した、徳永栄一(演 井上肇) という患者を例にして薬の使用量を計算したものが以下になります。患者・徳永の体重はドラマ中で明らかになっていませんが、日本人男性50代の平均体重71キロをあてはめて考えてみます。
手術中、悪性高熱が発症した際、ダントロレンの初回投与量は体重1キロ当たり1ミリグラム(1mg／kg) となっています。効き目が表れない場合は、1mg／kgずつ、静脈内に追加投与していきます。最大で7mg／kgまで投与できるとされています。
患者・徳永(体重71キロ)であれば、初回投与量が71ミリグラムです。ダントロレンの小瓶1本の容量は20ミリグラムしか入っていませんから、必要量を投与するには、4本必要になります。
ダントロレン1本9039円 × 4本 =3万6156円
これ、1回の投与で体温が下がればこれで済みますが、体温が下がらなければさらにどんどんお金が嵩んでいきます。体重71キロの患者さんに対して3万6156円～22万5975円の薬価がかかる、という事になるんですよ。
患者・徳永(体重71キロ)に
ダントロレンを投与した際にかかる薬価
| 投与回数 | ダントロレンの必要量 | 薬価合計 |
| 1回で済んだ場合 | 71ミリグラム／4本必要 | 3万6156円 |
| 2回で済んだ場合 | 142ミリグラム／8本必要 | 7万2312円 |
| 3回で済んだ場合 | 213ミリグラム／11本必要 | 9万9429円 |
| 4回で済んだ場合 | 284ミリグラム／15本必要 | 13万5585円 |
| 5回で済んだ場合 | 355ミリグラム／18本必要 | 16万2702円 |
| 6回で済んだ場合 | 426ミリグラム／22本必要 | 19万8858円 |
| 7回で済んだ場合 | 497ミリグラム／25本必要 | 22万5975円 |
確かに、
高価な薬品だわ!!
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さらに、
多くの病院がダントロレンを常備していないのは、
悪性高熱が滅多に起こる症状ではないから
なんですよ。
この悪性高熱が起こるのは非常に稀で、「日本麻酔科学会」のサイトによりますと、悪性高熱症は約10万人に1人か2人の割合で起こるとの事。
全身麻酔の手術を数多くこなす大病院でも10万人に1人か2人の割合でしか起こらない症状のために、数十万円もする高価な薬品を常に切らさないように常備するというのはなかなか難しいですよね。ダントロレン(※商品名は「ダントリウム」)の使用期限は製造から約3年程あるようですが、使用期限切れが何本出るかで、病院の収益に大きく影響出ちゃいそうです。
さらに、このダントロレン(※商品名は「ダントリウム」)、バラ売りしていません。販売パッケージは1箱5本入り(4万5195円)です。なので、使う分だけを予想して常備するのは本当に難しいと思います。
以上のような背景を知ると、今回のドラマで起きたように、大病院でもダントロレンがないという事態も理解できます。
「日本麻酔科学会」のサイトには
日本麻酔科学会認定病院では、特異的治療薬ダントロレンの常備を推奨し、 万が一悪性高熱症が発症した際の対処法などをガイドラインとして制定しています。
引用：「日本麻酔科学会」のサイトより
と表記しているくらいなので、多くの病院に当たり前のように常備されている薬品ではない、という事のようです。
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まとめ
9月8日放送のTBSドラマ日曜劇場「ブラックペアン2」第9話で、手術中に手術に必要な薬・ダントロレンが準備されていないという、これまでの医療ドラマでは見たこともないようなシーンが立て続けに起こりました。
なぜダントロレンがなぜ準備されていなかったのか? について調査した結果、ダントロレンが必要となる悪性高熱症が10万人に1人か2人の割合でしか起きない事、薬価が飛びぬけて高価であることが多くの病院で常備されていない理由になっていた事が判明しました。
しかし、ドラマ「ブラックペアン2」の天城雪彦(演 二宮和也) の手術に関していえば、ダントロレンを準備していなかったのは明らかに天城の落ち度だと思います。
天城は義母の手術の際にダントロレンがなかったことで義母を手術中に亡くなってしまったという過去があります。その体験がありながら、且つ、患者さんから財産の半分を差し出させて手術を行っているわけですから、1人当たり数十万円かかる高価なダントロレンだったとしても、非常時に備えて準備しておくべきですよね。今回、ドラマを観ていてそこが一番納得いきませんでしたね。。。
天城は佐伯教授(演 内野聖陽) の悪事を暴くことに気が行き過ぎてミスを犯したって事だと思います。
ドラマ「ブラックペアン2」は次回が最終回です。どんな決着になるのか?注目しましょう!! 個人的には最後に猫田麻里が再登場してくれると嬉しいんですけどね～。
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